セーフティポテンシャル®構造の非常停止用押ボタンスイッチ
登録番号: 特許第3899281号
発明の背景
工作機械などの制御パネルには安全装置として非常停止用の押ボタンスイッチが設けられており、非常時にこの押ボタンスイッチを押し込み操作することで、機械の主回路への電源供給が遮断され、機械の動作が停止するようになっています。
従来の非常停止手段では、主回路への電源供給を遮断する、すなわち電気回路中の接点を開離する力は押ボタンスイッチの押し込み力となっているため、非常停止中は押ボタンスイッチの押し込み方向と反対方向に常に力がかかっている状態にあり、押ボタンスイッチのどこかに破損等が生じると接点が再び接触してしまい、非常停止状態が解除され、機械が再び動作してしまうという問題がありました。
このような問題から、万が一押ボタンスイッチのどこかに不具合が起こったとしても、機械の非常停止状態を保てる手段が求められていました。
発明の概要
この発明の非常停止用押ボタンスイッチには、接点が非接触となる開離方向に力が働き、押ボタンスイッチのどこかに不具合が生じても接点を開離状態に保つことができる開離補助手段が設けられています。押ボタンスイッチの押込操作による押込方向と、開離補助手段の力が働く方向とが同じ方向であるため、従来のように接点が再び接触することはありません。(第三世代の安全構造:セーフティポテンシャル®構造)
この開離補助手段は、図中のバネに該当します。このバネは接点が接触しているとき(ノーマル状態)は縮んでおり、押ボタンスイッチが押し込まれると縮みが解放されます(ロック状態)。接点が再び接触するにはバネが縮まないといけないため、そのような力が働かない限り、押ボタンスイッチのどこかに破損等が生じたとしても非常停止状態を維持することが可能となっています。
上記の開離補助手段は例示であり、バネだけではなく、磁石等、開離力を生じさせられるものでも代替可能です。もちろん、これらの力で勝手に機械が非常停止しないように開離補助手段の力は設計されています。
発明の効果
この非常停止用押しボタンスイッチは、スイッチのどこかに不具合が起きたとしても、再び機械が動作するのを防止することができ、非常時における作業者のさらなる安全確保に役立ちます。