改正された機械の包括的な安全指針(2007年)

■機械の包括的な安全指針の改正(2007年)

機械の包括的な安全指針は、機械設備の安全対策を進めるため、すべての機械に適用できる包括的な安全対策の基準として、平成13年6月に公表されました。一方、平成18年(2006年)には「労働安全衛生法 第28条の2」として、リスクアセスメントが努力義務化され、また、国際安全規格(ISO、IEC規格)およびこれに整合するJIS規格の制定が進み、 安全規格が整備されたことから、平成19年(2007年)、これらに整合するよう、この指針の見直しが行われました。

「労働安全衛生法 第28条の2」や「危険性または有害性などの調査などに関する指針」が広く労働に関する安全の対策を対象にしているのに較べ、この指針は、主に工場などで使用する機械・設備のリスクアセスメント、およびリスク低減方策を具体的に規定しています。

また、労働安全衛生法が主に機械の事業者(使用者)を対象にしているのに対し、この指針の適用範囲は、機械の製造者および輸入業者、改造を行うもの、機械を組み合わせてシステム化を行うもの(インテグレータ)、そして機械の事業者(使用者)などを含めて、機械を扱うものすべてが対象となっています。 この指針の主な内容は、以下のとおりです。

1.機械メーカーにおいては

 @設計および製造段階でリスクアセスメントを実施する。
・機械の危険性または有害性を特定し、各々に関してリスクの見積りを行います。
・その際、機械本来の使い方だけではなく、メーカー側で予想できる「予見可能な誤った使用方法」や、トラブルが発生したときの処置を行う場合のリスクも考慮に入れる必要があります。

 Aリスクアセスメントの結果に基づいて、保護方策を実施する。
・機械の安全化を進める上では、設計・製造段階で安全を図ることが最も効果的です。機械の操作者の技量に頼らなくて済むよう、本質的な対策を優先して実施することが奨められています。

B保護方策を実施した後に残る残留リスクについては、「使用上の情報」としてユーザーに提供します。


2.機械ユーザーにおいては

@メーカーから提供された「使用上の情報」をもとに、
・ユーザー自身でリスクアセスメントを行い、「使用上の情報」以外も含めて必要な保護方策を実施し、リスクが低減されたことを確認します。
・また、ユーザーで設備の安全対策を講じた後に残る最後の「残留リスク」に関しては、作業手順や教育訓練の実施の措置を行って、機械を安全に使用します。

Aリスクアセスメントに必要な情報が、機械メーカーから提供されていなければ、メーカーなどに要求します。また、発注段階で安全に関する仕様書をメーカーに提示すると共に、機械の使用開始後に明らかになった安全に関する情報は、メーカーにフィードバックします。

次の図は、機械メーカーとユーザーの機械設備を安全化する上でのサイクル図です。

※詳しくはPDFファイルをご参照ください