第1回:安全機器とは何か
IDEC セーフティテック エキスパートチーム
安全機器とは、工場や化学プラントなどにおいて機械設備の操作/メンテナンスなどを安全に行えるようにするための機器です。あらかじめ機械設備に組み込まれていることもあれば、必要に応じて機械設備に取り付けて使用することもあります。
安全機器は、機械が故障したときや作業者が操作を誤ったときに、作業者の安全を守るために機械をコントロールします。従って、安全機器には特有の安全機能が要求されます。機械設備で使用される安全機器としては、以下のようなものがあります。
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・機械の動作範囲を制限する
メカストッパ、クサビ
・安全柵に付けた扉の開閉を検出する
安全スイッチ【図1】、リミットスイッチ
・機械に人が近づいたことを検出する
ライトカーテン、レーザスキャナ【図2】、安全マット
・危険を感じたときとっさに操作する
非常停止用押しボタンスイッチ【図3】、警報機器
・ロボットの教示作業などで安全を確保する
イネーブルスイッチ【図5】 -
・蒸気、空気の圧力を制限する
開放ベント(安全弁)
・機械の可動部分に触れることが無いようにする
カバー、ふた
・機械に人が接触したことを素早く検知する
バンパースイッチ
・安全状態を確認して機械の出力を許可する
セーフティコントローラ【図4】、安全リレーモジュール
安全関連部と非安全関連部
安全機器を扱う機械安全分野では、制御システム全体のうち、「安全に関わる電気制御システム」を「安全関連部」と、それ以外の部分を「非安全関連部」と呼ぶことで、互いに区別しています。本連載における安全機器は「安全関連部」で使用される機器を指しており、インターロックはその主な機能です。インターロックとは、機械の危険な部分の扉(カバー)が閉じていなかったり、そこに人が近づいたりした場合に、その危険な機械の動作を中止する機能を指します。
機械の制御システム全体と、「安全関連部」および「非安全関連部」の関係は、一般に【図6】のように表現されます。
非安全関連部は、機械設備がその「性能」を存分に発揮するための制御システム部分といえます。具体的には、モータ回転数の制御や可動範囲の精密位置決め制御など、機械の「売り」となる機能を制御する部分です。
一方、安全関連部は作業員に対する安全を確保するための安全制御システム部分であり、安全が確認されている場合のみ、入力部分から論理部分に安全状態を示す信号が(電気)エネルギを使って送られます。安全信号が論理部分で認識されている間だけ、非安全関連部からの始動命令を受けて機械を起動(start-up)させます。逆に、安全状態が確認できない場合や安全関連部自身が故障した場合、機械は起動しません。
一方、安全関連部は作業員に対する安全を確保するための安全制御システム部分であり、安全が確認されている場合のみ、入力部分から論理部分に安全状態を示す信号が(電気)エネルギを使って送られます。安全信号が論理部分で認識されている間だけ、非安全関連部からの始動命令を受けて機械を起動(start-up)させます。逆に、安全状態が確認できない場合や安全関連部自身が故障した場合、機械は起動しません。
始動信号が入るとロボットが起動
この考え方をロボットシステムに当てはめた例が【図7】です。
同図では、扉が閉じており安全スイッチがロックされています。さらに、非常事態ではないので非常停止スイッチは押されていません。この場合、論理部はロボットが動いても問題がないと判断します。その上で、ロボットコントローラからの始動信号が入ると、ロボットが起動します。
このロボットシステムの事例では、非常停止用押しボタンスイッチ、ロック付き安全スイッチ(共に入力部分)、安全リレーモジュール(論理部分)などが安全機器に相当し、安全関連部を構成しています。